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Investment Behaviorism

投資思考について

X Capitalのすべての事業活動において
投資思考を原点として思索を広げています。

投資的観点の拡張

投資思考とは、将来価値へ資本投下することで中長期的な資産の増益を享受するという投資の本質的観点を基盤とした思考枠組みです。X Capitalは、すべての事業活動において、価値の指標を短期的効用だけでなく長期スパンでの資本増価を含めて設定し、目的を将来収益の最大化に据えています。価値を判断する際には、評価ではなく実態価値に重きを置き、定量的指標に囚われない多角的視点から本質を見通します。

長期企業戦略へのコミットメント

私たちは全ての事業戦略上、「LTV-CPC」≒「事業価値-事業コスト」を長期のタイムラインで最大化することに主眼を置いており、あらゆる事業価値の意思決定は、企業価値向上の寄与度を尺度としてなされるべきだと考えています。短期主義的な事業活動や投機的な意思決定は、中長期における企業価値を毀損しかねず、持続性に欠ける戦略だと捉えています。X Capitalは、投資思考に基づき長期企業戦略へのコミットメントを果たしていきます。

ショートターミズムとの対峙

ショートターミズムは需要・利益の先食いであり、
長期的ビジョン下では忌避されなければいけません。

ショートターミズム(短期主義)

ショートターミズム(短期主義、近視眼的経営)とは、企業や投資家による短期的なキャッシュフローやリターンを重視した行動を指します。ショートターミズムは、日本企業の持続的成長を阻んでいる大きな要因の一つです。経営者や投資家が構造的要因により短期主義に陥ってしまった結果、長期ROIを軽視したまま短期の利益を求めた過剰な資本配分が進み、中長期的な企業価値醸成を阻害しています。

① 過剰な値上げ・値下げ

ダンピングや実態にそぐわない価格設定は継続性がなく、顧客との関係に悪影響を及ぼします。価格調整で単発的に利益をあげることはできますが、プロダクト・サービスに対する適正値で価格を設定しなければ、顧客の信頼を失い、ビジネスモデルの破綻を引き起こします。

② リソースの分割・切り売り

投資家が短期的なリターンを得るために、企業のリソースを分割し切り売りするケースが散見されます。特に売却益のみを目的とするアクティビストの事業介入は、企業の中長期的成長を無視するものも多く、持続的な経済成長の阻害要因になり得ます。

③ 教育の軽視

人材教育はROIが見込みにくく、資本と時間が投下されづらいものです。しかし、中長期的視野に立ってLTVを考えると人材の育成はリターンのポテンシャルを大きく秘めていることは言うまでもありません。教育制度・研究開発・起業支援に投資し優秀な人材を創出しなければ、特異的な経済的価値を生むイノベーションは起こりえません。

④ 環境・社会の軽視

事業活動の環境影響性や社会に対する波及効果を考慮しない事業開発は、環境・社会への悪影響を及ぼすだけでなく、産業の発展に必要な資源を過度に消費し、将来的な事業活動の拡大と産業全体の成長、その両方を妨げます。

⑤ 消極的なM&A

会計制度基準の性質上、赤字企業を積極的に買収することが日本は他国に比べて難しく、M&Aが少ない傾向にあります。イノベーションを起こすためには、新興企業が持つ先進技術・知見、また赤字企業が持つパテント・データ・技術の活用が不可欠であり、利益が赤字であるという理由で事業の拡大機会を失ってはいけません。

ショートターミズムに陥る
構造的原因

企業がショートターミズムに陥る原因として主に3つの理由が挙げられます。一つ目は短期インセンティブと長期インセンティブの整合が取れていないこと。経営陣の任期や会計開示の制約によって、先行投資をして将来収益を上げるよりも短期的な利得を求める傾向が強くなります。二つ目にアクティビスト的投資活動によって、投資の短期化が進んでいること。PEファンドでは一般にコングロマリットディスカウントの解消や資産売却によってROEを高める形で短期的に株価を上昇させるインセンティブが強くなる一方で、先行投資部門の成長や事業間の中長期的なシナジーが失われやすいという問題が生じています。最後にデフレ・低成長化が短期主義的傾向を助長しているということ。長期事業への資本投下を抑えて目前の利益を求める判断が短期合理的であるが、結果として事業成長が停滞し利潤の源泉がなくなる──利益を目指せば目指すほど、その実現から遠ざかる囚人のジレンマのような状態が出来上がっています。

X Capitalの目指す方向性

長期主義システムの構築

短期主義的な投資活動は、経営の安定性と継続性を毀損して、無意識の内に経営自体を短期主義へと陥らせてしまう可能性があります。短期取引は株式の流動性を高めて市場の健全性を保つために必要な役割を果たしています。しかし、企業が連続的な事業構築により飛躍的発展を遂げるためには、株式を長期保有して経営に安定性を付与することで、長期合理的な経営判断を支えることが大切なのです。X Capitalは長期保有によるバリューアップを目的とした投資活動を普及していき、投資と経営の双璧で長期主義システムを構築します。長期保有を前提として、企業が中長期的計画のもとで持続的に価値を生産し、その価値が社会に循環するということが、資本主義における最も発展的なシナリオであり、極めて高い社会価値・経済的価値を生み出す唯一の戦略なのです。

投資思考の浸透

すべての戦略には投資思考を組み込むべきであるというのが、私たちの一貫した主張です。古代ローマ皇帝のトラヤヌスは、暴力的な人民支配を転換し、市民に対して宥和的な政策を打ち立て、市民の権利を強化しました。また、ローマの水道や街道の整備を行い、永きにわたり繁栄した帝国の基盤を創りあげたのも彼の大きな功績です。トラヤヌスが賞賛されるのは、歴史的権力観・伝統的特権に縛られずに国力の源である市民を成長させ、長期的繁栄を見据えて都市整備への投資を進めた点にあります。帝国繁栄という目的のため、保有資本を本質的な価値基準で判断し、系統的に戦略を立てて将来の成功に結び付けたのは、まさに投資的な観点であり、現代の経営戦略にも通じる視点なのです。