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Dec,27,2021

日本のマネロン・テロ資金供与対策について

金融活動作業部会FATFについて 

金融活動作業部会FATFをご存じだろうか。FATFとはFinancial Action Task Forceの略で、マネー・ロンダリングやテロ資金供与への対策に取り組む国際組織である。近年ITの発達により国際的な金融の垣根が低くなり、同時にマネロン・テロ資金供与といった犯罪も国際化し始めている。そこで、そういった犯罪に対抗するために設立された国際組織がFATFである。現在、G7を含む36ヵ国・地域と2地域機関が加盟している。FATFの主な役割は、マネロン・テロ資金供与対策の国際基準「40の勧告」を作成し、加盟国・地域間同士で勧告の履行状況を相互審査し合うことだ。

リスクベース・アプローチとは

FATFが、マネロン・テロ資金供与対策する上で重要視している手法はリスクベース・アプローチである。リスクベース・アプローチとは、マネロン・テロ資金供与に関してどういったリスクがあるか特定・評価し、リスクの度合いに応じて対策をとるといった手法だ。これにより、リスクの高い分野に経営資源をより多く投入でき、管理の費用対効果が高まる。

FATF勧告

このリスクベース・アプローチをもとに、FATFは以下のような法令整備に対する40の勧告を作成している。

参考:財務省資料

さらに、この勧告が実際にどの程度実行されているかを見る有効性に関する11の項目も作成されている。

参考:財務省資料

第四次対日相互審査

そして、2021年8月に日本がこれらの勧告や有効性の項目をどの程度遵守しているかを審査する第四次対日相互審査の結果が発表され、日本は実質不合格の重点フォローアップ国の認定を受けた。


ここで重要となる点は、マネロン・テロ資金供与の主要なリスクへの理解である。リスクベース・アプローチにおいて、リスクの理解が適切でない場合は、その後十分な対策が難しくなってくる。上記審査では関係機関ごとの評価もされ、一部金融機関や、特定非金融業者および職業専門家(通称DNFBPs)、関係省庁はリスクの理解が十分でないと評価された。また、暗号資産交換業者や関係省庁はマネロン・テロ資金供与に絞ったリスク理解、対策ができていないとも指摘された。
※特定非金融業者および職業専門家(DNFBPs)とは、カジノ、不動産業者、貴金属商、宝石商、弁護士、公証人、その他の独立法律専門家および会計士、トラスト・アンド・カンパニー・サービスプロバイダーを指す。

今後の日本の対応

これらの結果は、今後の国際取引における日本の信頼に大きく影響するものであり早急の対策が必要である。政府は上記の審査結果を受けて以下のような対応を令和3年~令和6年を目途に行う具体的な計画を発表した。


他にも、政府だけでなくマネロン・テロ資金供与に関わり得る全ての企業・機関がこの結果を深く受け止め、審査結果に基づく対策を急ピッチで行う必要がある。特に、ペイメントアプリなどの資産移動事業や暗号資産は今後より普及し、普及に伴って犯罪に利用されるリスクも高まっていくと考えられるため、これからを見据えた上で対策を行っていく必要があるだろう。

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